下肢末梢動脈疾患(PAD)について
腎不全の病態は、全身の血管(特に動脈)が硬くなったり 部分的に細くなったりする場合があります。これが足の先へ流れる血管に起こると血流障害を引き起こし、さまざまな症状を引き起こします。この状態を「下肢末梢動脈疾患(PAD)」と言います。
患者さんの感じる症状として、「冷感やしびれ」「少し歩くと足がだるくなる、痛くなる、しびれが出て歩けなくなる。でも、少し休むとまた歩けるようになる(間歇性跛行症状)」などがあります。さらに血流障害が進むと安静時の「うずくような痛みや足先の色が悪くなる」等の症状が出てきます。最終的には下肢切断を余儀なくされる場合もあります。
当院での下肢末梢動脈疾患(PAD)取り組み
下肢末梢動脈疾患(PAD)の進行は、日常生活を著しく低下させます。
我々医療スタッフは、早期に下肢末梢動脈疾患(PAD)を発見し、必要時、治療可能な専門医への紹介を行っています。
医師・看護師による関わり
全ての透析患者さんに対して1回/月以上、足の観察をさせて頂きます。
この際、明らかな血流障害の症状がないかチェック(評価)を行い、日常の注意点やケア方法について個別に関わらせて頂きます。
血流障害に進行がみられる場合、追加の検査や専門医(病院)への紹介を速やかに行わせて頂きます。
ABI検査
ABI検査とは、足関節と上腕間の最高血圧の比率を数値化した検査です。
全身の動脈が硬くなっていないか、また細くなっていないかを調べる検査の一つです。
【ABI検査の意義】
- 測定値から、血流障害をはじめとする様々な病態を敏速かつ効果的に発見することができます。
- 簡単な検査であり、検査コストを低く抑えることが出来ます。
SPP検査
SPP(皮膚組織還流圧)検査とは、末梢血管領域における下肢虚血の重症度評価、治療効果の判定に用いる検査です。
検査方法は、ベッドに仰向けになった状態で測定部位(足裏や甲)にセンサーを当てます。その上から血圧計を巻きます。血圧計のカフが加圧して締まり、徐々に緩んで完全に緩んだところで測定終了です。検査時間は20~30分(測定箇所数により、検査時間は長くなります)
【SPP検査の意義】
下肢血流の評価は、ABI検査が簡便で広く用いられています。しかし透析患者さんは、ABI値が偽高値に測定される場合があります。一方、SPP検査による下肢血流評価は、石灰化や動脈硬化の影響を受けにくいとされています。